目の病気について

白内障について

白内障とは?

人の目は、良くカメラにたとえられますが、カメラのレンズに相当するのが水晶体です。

水晶体は直径9mm、厚さ4mmの凸レンズ状の透明な組織です。正常な水晶体は透明で、光をよく通します。

しかし、何らかの理由で、水晶体の中身のたんぱく質が変性して、濁ってくることがあります。これが「白内障」です。濁ってくると光が通る量が減っていきますので視力にも影響が出てきます。霧がかかったように見えたり濁りで光が乱反射するので、眩しく感じることがあります。ただ、痛みはありませんので、すぐには気付かないことが多いのです。

白内障

 

白内障の原因

白内障はさまざまな原因で起こりますが、最も多いのは加齢によるものであり、これを「加齢性白内障」と呼んでいます。個人差がありますが、誰でも年をとるにつれ、水晶体は濁ってきます。加齢性白内障は一種の老化現象ですから、高年齢の人ほど多く発症します。最近では、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの合併症として、若い人の発症が増えています。

その他、母親の体内で風疹に感染するなどが原因で生まれつき白内障になっているケースや、目のけがや薬品の副作用から白内障を起こす場合もあります。

 

白内障の治療

日常生活に支障がない程度であれば、点眼薬や内服薬により、白内障の進行を遅らせます。これらの薬剤は水晶体が濁るスピードを遅くするもので、症状を改善したり、視力を回復させることはできません。

白内障の状態によった手術の方法がいろいろありますが、現在の白内障の手術の多くは、濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し、人口のレンズを入れるという方法で行われいます(超音波乳化吸引術)。

白内障の治療

 

手術時期について

診察中によく白内障の手術時期についての質問をうけます。

われわれ眼科医の立場からは、メガネをかけての視力(矯正視力)が0.5か0.6ぐらいになってくれば、そろそろ手術はどうですか?と勧められる先生が多いように思います。

それはあまりにも白内障が進んでしまうと、水晶体が硬くなってしまうことがあり、そのような場合には先に述べました「超音波乳化吸引術」での手術が難しくなることがあります。そのため水晶体を丸ごと取り出す方法(水晶体嚢外摘出術)に術式を変更しなければならないためです。

しかし矯正視力が白内障手術に踏み切る絶対的な基準ではなく、実際はその人の職業、趣味、生活習慣により異なると思ってください。

たとえば夜間に車を運転すると対向車のヘッドライトがまぶしくて困るといったような症状、細かな作業をするときに白内障によるかすみが非常に気になるといった症状がある場合には、たとえ0.7以上の良好な矯正視力であっても手術の適応となりますし、その一方で矯正視力が0.3や0.4であっても大好きな相撲や時代劇をテレビでよく見えており日常生活になにも不自由がないといわれる高齢者には、このまま手術をせず、定期的な診察を受けてもらっています。

すなわち人それぞれ生活環境や生活状況は異なりますから、基本的には自分の日常生活に不便を感じるようになった時が、手術を考える時期と考えていいと思います。

とはいっても白内障が進みすぎて光しか感じることができない視力、手の動きしか見えないような視力まで放置しておくことはよくありません。

このような状態では単に手術が難しくなるだけでなく、白内障の濁りが強いことで網膜の状態が確認できないため(海の底を見たいのに水が濁りすぎて見えないのと同じです)、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症や加齢黄斑変性症などの失明につながるような網膜の病気があってもわかりにくい時があります。

また水晶体がずれて変位していたり、緑内障発作が起こりやすいことが考えられる場合などはたとえ見え方に大きな不自由がなくても、早めの手術を勧められる場合があります。また現代社会では車の運転が必要な人が多いと思います。
運転免許の種類によっても変わりますが更新する時に視力検査で合格できない場合は見えているといわれても手術を勧めます。

以上のことから白内障の手術時期については基本的に「患者さんが望まれる時や生活に困る時が最適な手術の時期」と考えます。

ただし特別な場合には早めの手術が必要なこともあるため、眼科とよく相談して手術を受けられることが重要です。さらにはすぐに手術を行なう必要はなくとも白内障による定期的な通院が大切と考えます。